クリニックへの転職を考えているのであれば、クリニックで働くデメリットも知っておくべきです。メリットだけに着目して転職をしてしまうと、実際に働きだしてから想像していたものと全然違ったとギャップを感じてしまい、また転職を考えることにもつながりかねません。
病院で勤務する看護師の平均年収は418万円で、クリニックで勤務する看護師の平均年収は約380万円です。そのためクリニックで働くことを考えた場合は、給料は低めでアップすることも基本的に望めないということをあらかじめ覚悟しておきましょう。特に病院からクリニックへと職場を移す場合には給料がぐっと低くなってしまう可能性もあります。
クリニック看護師の給料が低くなる理由の一つに、「夜勤のないクリニックが多く夜勤手当がない」ということがあります。また、小規模な組織であることから給料形態や昇格に関することが明確に定まっていないところが多く、長く働いても給料が上がらないということや昇進がないということも給料が低い理由に含まれます。
クリニックでは良くも悪くも人間関係の影響がとても強く出る傾向があります。これは少人数で小規模の組織ということが関係しています。医師の数や看護師の数、その他のスタッフの数も病院と比べるととても少ないため、誰かと人間関係が上手くいかないとなると極端に働きづらくなってしまうのです。特にクリニックのトップとなる院長との相性はとても重要です。病院の場合は院長とは直接的に関わるのではなく管理職と関わっていくことが多くなるため、院長との相性はそれほど重要視されませんが、クリニックでは院長と直接関わって働くことが多いため、院長との相性はそのままダイレクトに仕事に影響してきます。また、院長は上司でもあり雇用主でもあるため、院長と考え方が合わなかったりするとさらに働きにくくなってしまいます。しかし、反対に院長や他のスタッフと良い人間関係が構築できるとアットホームな中で楽しく働くことができます。
クリニックでは重症患者を扱わないので、高度な看護スキルを求められることがほとんどありません。そのため血圧測定や採血といった基本的な処置のみをしていることが多いため、看護スキルをアップさせたいと考えている人にとっては物足りなく感じるかもしれません。そのため、看護スキルを上げるという観点から見ると、クリニック勤務はデメリットが多いと言えます。しかし、基本的なことを行っているからこそ、早い段階で病気を見つけることもできます。つまりクリニックの役割は重症の患者を治療するのではなく、重篤な症状になる前の段階で病気を見つけることなのです。